鐘ヶ坂・丹波篠山ツーリング

桜の季節だったので鐘ヶ坂公園で桜を見るついでに、行ったことのない篠山市内を観光するツーリングに行きました。

丹波市丹波篠山市をつなぐ峠、鐘ヶ坂。その鐘ヶ坂峠にはトンネルが通っていて、ひとつは平成期、ひとつは昭和期、残るひとつは明治期に作られており、1つの峠に3つのトンネルが通る非常に珍しい峠です。当然、それ以前に使われていた峠道もあります。鐘ヶ坂公園は丹波市側の、昭和期の「鐘ヶ坂トンネル」までの途中にあります。

鐘ケ坂公園の桜

鐘ヶ坂公園 | 桜は綺麗だが激烈に構図が難しい

十数年前に訪れたとき、たまたま桜の季節で「桜が綺麗だなぁ」と記憶していて、記憶通り綺麗だったのですが、写真に収めるにはいささか腕が足りず難儀しました。「丹波吉野」と呼ばれる公園ですが、ひと気がなく穴場です。

ここまで来たら、昭和期の「鐘ヶ坂トンネル」と明治期に「鐘ヶ坂隧道」に挨拶をするのが礼儀です。公園から少し登ると鐘ヶ坂トンネルの坑口が見えますが、一旦スルーして「明治のトンネル→」の看板を頼りに未舗装路を行きます。鐘ヶ坂隧道に至るまでの道は勾配は緩やかで、丁寧に整備されており非常に歩きやすいです。鐘ヶ坂隧道に行く分には普段履きで十分でしょう。そのまま鐘ヶ坂峠に行く場合は、しっかりとした靴を履くべきだと思います。

丹波側の鐘ヶ坂隧道坑口

鐘ヶ坂隧道坑口(丹波側) | 「鑿山化居」の扁額

現存する煉瓦トンネルとしては最古級のものになります。坑口はコンクリートで厚く固められています。手前に「鐘坂隧道碑」の石碑と「寄附名員」の石碑があります。トンネルについて、ここであれこれ書くより旧道倶樂部活動報告書を読んでいただくのが正確でわかりやすいと思います。
普段は通り抜けできないそうですが、タイミングよく通り抜けできる時期に行ったので通ってきました。「春と秋に通り抜けできます」というような立て看板があったのですが、例年は桜祭りの日だけ通り抜けできるようです。照明が足元にあったのですが点いておらず、スマートフォンのライトを使いました。便利。

鐘ヶ坂隧道内部の煉瓦積みとコンクリートによる補修

隧道内部の煉瓦積みとコンクリート補修

篠山側の鐘ヶ坂隧道坑口

鐘ヶ坂隧道坑口(篠山側) | 「事成自同」の扁額

こちらの坑口は建設当時の姿を見せています。人馬の往来しか想定されてない大きさのため、昭和のモータリゼーションの発達に対応できず、新しいトンネルの開通が期待されます。鐘ヶ坂トンネルが1967年に完成し、鐘ヶ坂隧道は84年でその役割を終えます。

このまま道を下っていくと、右手に鐘ヶ坂トンネルの坑口が見えます。見慣れた坑口でホッとしますね。(?)

篠山側の鐘ケ坂トンネル(昭和期)

鐘ヶ坂トンネル坑口(篠山側) | 坑口左上に「萬古清風」の扁額

こちらも通り抜けできたので、せっかくなので通って公園に戻ろうと思います。明治期の隧道と同様に、普段はこちらも閉鎖されているのではないかと思います。

鐘ケ坂トンネル内部

鐘ヶ坂トンネル内部

自動車での往来が容易になったので開通時は非常に喜ばれたことでしょう。しかし、トンネル内部の路側帯は非常に狭く、歩行者や自転車での往来は無視されています。とは言うものの、そのように通行する人は多くはなかったでしょう。

丹波側の鐘ケ坂トンネル(昭和期)

鐘ヶ坂トンネル坑口(丹波側) | フレアとゴーストがひどい

篠山側から丹波側に抜けるとすぐに90度の右カーブ、その後、ヘアピンカーブが待ち構えており、特に冬季は凍結などで事故が多発したようです。安全に通行できるトンネルの開通が期待され、平成期に「新鐘ヶ坂トンネル」が開通しました。歩道も整備され、歩行者は安全に通行できるようになりました。

 

明治と昭和を堪能したので新鐘ヶ坂トンネルを通り、篠山市内へ向かいます。ひとまず篠山城跡に向かうことにしました。篠山城跡付近ですが、オートバイ用の駐車場は整備されておらず、観光案内所で尋ねたところ、「篠山城前に石碑があるので、その付近に停めてください」とのこと。行ってみると言われたとおり多くのオートバイや自転車が駐車されてました。無料なのが嬉しい。ちなみに、ここはすでに篠山城敷地で、停めた場所は三ノ丸になります。

篠山城跡

篠山城跡 | ニノ丸より本丸方面を望む

くねくねと歩いたり、長ーい階段を登ったりというようなことはなく、入ってすぐニノ丸に辿り着きます。写真右奥に天守台がありますが、天守は建てられたことはないようです。現在は本丸に青山神社が建ち、ニノ丸には大書院(復元)が残されています。

 

大書院 上段の間
大書院 廊下
大書院 屏風
篠山城大書院 | (左から)上段の間、廊下、屏風

市内の資料館4館共通券を購入し、大書院に入ります。

ろくな写真を撮っておらず、わかりづらく申し訳ない限りですが、とにかくめちゃくちゃ広い。大変立派。一大名の邸宅としては破格の規模だそうです。掃除が大変そうという庶民の感想を残しておきます。

 

桂園舎
桂園舎内部
青山歴史村

資料館4館共通券を使って青山歴史村へ。藩主青山家の別邸として使われたものだそうです。家の中から庭園を見るのがデトックスになるので、ぜひ見に行ってみてください。

 

歴史美術館の門
旧篠山地方裁判所 弁護人席からの景色
丹波篠山市立歴史美術館

資料館4館共通券を使って歴史美術館へ。篠山藩庁の建物を裁判所として使用していましたが、新庁舎ができたため現在は歴史美術館して利用されています。磁器や巻物、屏風などが展示されています。美術館内は原則撮影禁止ですが、旧法廷内のみ撮影可能です。ある程度の人数で行けば裁判ごっこができます。

 

武家屋敷全景
武家屋敷内部
武家屋敷 安間家資料館

資料館4館共通券を使って武家屋敷 安間家資料館へ。この建物がある通り自体が武家屋敷群となっており、江戸時代の雰囲気を堪能できます。でもモダンでめちゃくちゃ立派な家とかあります。
さすがに藩主の邸宅と比べると小さいですが、立派な平屋の邸宅です。水琴窟がありますので、ぜひチャレンジしてください。夏に行けば涼を取れるかもしれませんが、まあ外出しないが吉ですかね……。

 

篠山城跡の桜

篠山城跡は桜が綺麗

4館をコンプリートしたので、そろそろ帰ることに。篠山城跡まで戻ってきましたが、こちらも桜が大変綺麗ですね。城前には出店が立ち並んでおり、多くの人で賑わっていました。鐘ケ坂公園とは対照的です。また桜の季節に来ようかな。

 

【2023/08/13更新】

  • 「鐘ヶ坂」「鐘ケ坂」の表記ブレを、「鐘ヶ坂」に統一しました。
  • 旧道倶樂部活動報告書のリンクを修正しました。